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想いあふれて
第3章 濡れたシャツ、肌の熱
「ごめん。急に思いついちゃって・・・
こんなに雨の音が大きいなら、
練習するチャンスかな、って。
ちょっとここで、弾いてもいいかな」
「いいけど、濡れちゃってるから」
タオルでごしごし彼の髪を拭いているうちに、
なんとなく距離が近づいた感じがした。
なんだか世話の焼ける子犬が迷い込んだような気分だ。
彼の髪は茶色がかって細く、
まっすぐで、さらさらしている。
首筋はほっそりと長いが、
タオル越しに触れた感触からは
男性らしいがっしりとした骨が感じられた。
彼はアコースティックギターを取り出して
チューニングを始めた。
ギターの音に耳を傾けているせいか、
弦の優しい音が、嵐の音をかき消したような気がした。
気持ちが少し、
穏やかさを取り戻している。
彼の細い指先からこぼれる優しいアルペジオに、
りつかはじっと聞き入った。
指先が弦を撫でる、そんな感じの弾き方だった。
彼の歌声はのびやかで美しく、
心の奥の、自分ですら知らない場所にまで響いている心地がした。
言葉にできない、
色々な感情が入り混じって波打った。
胸がざわめくけど、
そのざわめきを彼のギターの音がそっと包み込んで、
ゆっくりと空気に溶かしていく。
「すてき」
それ以上の言葉を重ねたら、
緩んだ目元から涙が溢れ出しそうだったのでこらえた。
次の瞬間、
どうしようもないく抑えきれない感情が、
体の奥から突き上げて来た。
落雷がどん、と地面を鳴らすように、
その衝動がどん、とりつかのみぞおちを突く。
体から出してくれ、と荒れ狂うその衝動を、
りつかは一瞬なんだかわからず、
胸元を隠すようにしてうずくまった。
こんなに雨の音が大きいなら、
練習するチャンスかな、って。
ちょっとここで、弾いてもいいかな」
「いいけど、濡れちゃってるから」
タオルでごしごし彼の髪を拭いているうちに、
なんとなく距離が近づいた感じがした。
なんだか世話の焼ける子犬が迷い込んだような気分だ。
彼の髪は茶色がかって細く、
まっすぐで、さらさらしている。
首筋はほっそりと長いが、
タオル越しに触れた感触からは
男性らしいがっしりとした骨が感じられた。
彼はアコースティックギターを取り出して
チューニングを始めた。
ギターの音に耳を傾けているせいか、
弦の優しい音が、嵐の音をかき消したような気がした。
気持ちが少し、
穏やかさを取り戻している。
彼の細い指先からこぼれる優しいアルペジオに、
りつかはじっと聞き入った。
指先が弦を撫でる、そんな感じの弾き方だった。
彼の歌声はのびやかで美しく、
心の奥の、自分ですら知らない場所にまで響いている心地がした。
言葉にできない、
色々な感情が入り混じって波打った。
胸がざわめくけど、
そのざわめきを彼のギターの音がそっと包み込んで、
ゆっくりと空気に溶かしていく。
「すてき」
それ以上の言葉を重ねたら、
緩んだ目元から涙が溢れ出しそうだったのでこらえた。
次の瞬間、
どうしようもないく抑えきれない感情が、
体の奥から突き上げて来た。
落雷がどん、と地面を鳴らすように、
その衝動がどん、とりつかのみぞおちを突く。
体から出してくれ、と荒れ狂うその衝動を、
りつかは一瞬なんだかわからず、
胸元を隠すようにしてうずくまった。

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