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想いあふれて
第4章 遠い波音、溶け合う吐息
自然と「りっちゃん」と呼んでカウンター席に呼び寄せると、

カレーを小皿によそって、その上にライムの果汁を絞って落とした。

「ああ。カレーの天才は、俺の方だった」

ライム果汁入りのカレーを味見し、
満足そうにうなずく信忠を見て、りつかは思わず笑った。

「ほら、りっちゃんも、口開けてみな」

信忠が言って、
スプーンを持った手をりつかの方に伸ばしてくる。



すっきりとしたライムが誘うように香り、
遠く外国にいるような、
少し寂しいような、
それでいてわくわくするような、
そんな気分が胸をかすめた。


りつかは口を開けた。

信忠に合わせて平静を装ってはいるものの、
突然やってきた、まるで新婚のような「あーん」のシチュエーションを、
意識せずにやってのけるほどりつかは器用ではなかった。

やけに心臓がうるさい。


スプーンの先が
りつかの唇を割って挿し入れられたとき、
思い過ごしだろうか、
信忠の濡れた視線を、唇に感じた気がした。
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