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想いあふれて
第4章 遠い波音、溶け合う吐息
「ごめん、からかったりして。
 お詫びに試作、手伝うから」



りつかは信忠に手伝わせ、
五種類のカレーを作った。

キッチンで肩を並べて一緒に料理をし、
同じ料理の味を見て感想を言い合ううち、
自然と距離が近くなっていった。


最後には、いちいち洗うのも面倒になり、
一つのスプーンでカレーをすくい、
互いの口に運び合った。


それがあまりにも自然なやり取りだったので
二人は何も言わずにいたが、
よく言う「間接キス」が交わされていることを
りつかは意識していた。

けれども、
嫌な気分にはならなかった。

あえて気付かぬふりをして
スプーンを介してキスしている。

その奇妙なスリルが、
むしろりつかを静かに興奮させていた。
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