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想いあふれて
第6章 唇に触れる優しい恋、胸を過ぎる強い風
りつかは信忠の強引さに立ち向かう手立てもない自分を情けなく感じつつ、振り回されるのを心地よくも思った。
かつて、啓の都合に合わせて必死に彼を追いかけていた時とは違う。
あの時の自分は、どうしても啓から離れたくなくて、啓が離れて行くのが怖くて、必死すぎた。
───今日はいい波が来ている
信忠はそう教えてくれたけど、りつかには波の違いはよく分からない。
ただ、うねって白く砕ける波に乗り、身をひるがえして飛沫を輝かせる信忠の姿は、自由そのもので、見ているりつかさえ、心が解き放たれる心地がした。
平日水曜日の昼間、光る波を眺めながら、砂交じりの風に吹かれ、ぼんやりとすごしている。東京の会社で働いているときには考えられないことだった。
信忠の軽やかな身のこなしをフォールディングチェアに座って眺めながら、今の自分にも、自由があることに気づいた。
「こんにちは。信忠のお知り合い?」
突然背後から話しかけられ、りつかは振り返り、チェアから立ち上がった。
サングラスをかけた美しい女性が、ノースリーブのブラウスの襟をなびかせ立っている。
「えっと・・・仕事で、お世話になっているものです」
しどろもどろになりながらも、そう言って頭を下げた。女性はふふっと微笑んで、ため息交じりで言った。
「また、年下の女性を振り回してるのね。ほんと、あの人と付き合うと大変よね」
かつて、啓の都合に合わせて必死に彼を追いかけていた時とは違う。
あの時の自分は、どうしても啓から離れたくなくて、啓が離れて行くのが怖くて、必死すぎた。
───今日はいい波が来ている
信忠はそう教えてくれたけど、りつかには波の違いはよく分からない。
ただ、うねって白く砕ける波に乗り、身をひるがえして飛沫を輝かせる信忠の姿は、自由そのもので、見ているりつかさえ、心が解き放たれる心地がした。
平日水曜日の昼間、光る波を眺めながら、砂交じりの風に吹かれ、ぼんやりとすごしている。東京の会社で働いているときには考えられないことだった。
信忠の軽やかな身のこなしをフォールディングチェアに座って眺めながら、今の自分にも、自由があることに気づいた。
「こんにちは。信忠のお知り合い?」
突然背後から話しかけられ、りつかは振り返り、チェアから立ち上がった。
サングラスをかけた美しい女性が、ノースリーブのブラウスの襟をなびかせ立っている。
「えっと・・・仕事で、お世話になっているものです」
しどろもどろになりながらも、そう言って頭を下げた。女性はふふっと微笑んで、ため息交じりで言った。
「また、年下の女性を振り回してるのね。ほんと、あの人と付き合うと大変よね」

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