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想いあふれて
第7章 終章ー風と光、開く花
「こうして二人と食べられて、良かった」
紫苑が微笑む。
「ああ、そうか、それはよかったな」
信忠は急にぶっきらぼうになって残りをほおばった。信忠は紫苑の微笑に、色気を感じ取ってしまっているように、りつかには思えた。
「信さん、せっかく美味しいのにそんな風に一気に食べたらもったいない。じっくり味わいましょうよ」
りつかが諭す。
「それぞれの食べたいようでいいんじゃない?」
と紫苑が言うと、ふと、信忠の口元に目を止めた。
「信さん、ほっぺにクリームついてるよ」
手元の紙ナプキンを紫苑が差し出す。
信忠は少しむくれたように照れて受け取り、紫苑が長い指でそっと示した場所を、ごしごし拭いた。その武骨な信忠に不似合いな子供のようなしぐさにりつかが微笑むと、それを受け止めるように紫苑が微笑んで返した。
不思議な出会いにどぎまぎしつつ、りつかは素直に、二人と出会えたことに感謝を覚えた。
大きな痛手を負ったが、振りほどくようにここまで来てよかった。これは、逃げたのではない。私は新しいスタートを切るための場所として、ここを選んでやってきたのだ、そう思えた。
その時、定休日の札をかけてあるはずの店のドアが、ガチャリ、と音を立てて開いた。
りつかはいつもの客を出迎える癖で無意識に立ち上がり、そして、息を呑んだ。
「啓・・・」

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