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二重の指輪、ひとつの欲望
第2章 淫(2)
シャワーの水を下からアソコに当てながら、指先を入れて膣内を丁寧に洗う。デリケートな場所の香りを清らかに保つためには、こうして時間をかけ、自分自身を労るように扱ってあげる必要があるのよ。芳香剤の強いソープで無遠慮に洗うのは野暮なの。 丹念に指を這わせているからこそ、私のそこが、淀みのない清廉な香りでありつづけられることを、私自身が一番よく知っているから。

浴室を抜け出し、三面鏡の前に裸身を晒して自身のプロポーションを静かに見つめる。歳月を重ね、かつての弾むような肌の艶や張りが失われていくのは抗えない事実ね。時を止めて衰えを知らないのは、それこそお化けくらいのもの。どんなに富を持っていようとも、人間である以上は誰もが必ず枯れゆく運命にある。だからこそ、その抗えない変化の波をいかに緩やかに、そして美しく手懐けていくか——その微細な調整こそが、女性を艶やかに保つための何より大切な秘訣なのです。

ふと、職場から電話が入る。電話口の向こうから明るい事務員さんの声が聞こえる。

「おはよう、茜ちゃん。〇〇です。何かあった?」

「〇〇先生…△△さんという患者さんからさっき電話があって、数えたらお薬が足らないとのことなんです。一応、納得してもらえるように説明はしたんですが、この人って、〇〇先生の担当患者さんなので、明日でいいんで再度、電話で対応してもらえますか?」

「分かりました。明日するわね。ありがとう」

よかった、緊急の呼び出しじゃなくて、と思いながらまだ濡れている髪の毛にドライヤーの熱を当てた。

***************
彼は私の自宅でセックスをしたがった。頻繁に使うラブホテルよりも、夫の気配が漂う空間のほうが、彼の嗜虐心をより強く刺激するようなの。彼が私の家に来るようになってから、ベッドのシーツを5枚、主人には内緒で買った。彼は私の身体を毎週のように求め、決まって主人との愛の聖域であるベッドの上で私を求めた。

本当は自宅のベッドで抱き合うことは嫌だった。でも、私は彼の言葉に従った。その代わり、シーツを何枚も買い、セックスが終わった後のシーツは、夜までには毎回取り替えた。シーツに染み付いた彼の匂い、飛び散った私の愛液そして汗の痕跡を残すシーツは太陽の光、もしくは洗濯によって、その痕跡を跡形もなく消し去り、また白く生まれ変わっていく。
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