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二重の指輪、ひとつの欲望
第6章 淫(6)
私はシーツに顔を押し当てながら嬌声を上げた。

「いやあ、ああっ…もっと…もっとして…」

「いいぜ。もうケツが真っ赤になってる。もっと叩いてやるよ」

彼は私に容赦のない強い刺激を与え続けながら、私の懇願をあざ笑うかのように、さらなる羞恥と微かな痛みを伴う仕打ちを重ねてきた。

「ああっ……痛いっ、でも……もっと……」

抗えない快楽の波に呑まれ、私は身をよじらせながら激しい絶頂を迎えた。 強烈な波が過ぎ去った後、私の身体からはすっかり力が抜け落ちていた。彼がふいに責めを止めると、静まり返った部屋には私の荒い息遣いだけが響き渡る。

彼が不意にリモコンのスイッチを切り振動が唐突に止められると、それまでの喧騒が嘘のように静まり返る。静寂に包まれた部屋の中には、ただ私の「はぁっ、はぁっ……」という荒々しく乱れた息遣いだけが、やけに生々しく反響していた。

「いやっ……もう、見ないで……」
(私……なんてみっともない姿を……)

完全に脱力し、そのままシーツに倒れ込んでしまいたいと願うものの、手足の自由を奪う拘束具がそれを許してくれない。自力で体勢を崩すことすらできず、私は無防備で酷く恥ずかしい姿勢のまま、彼の下に晒され続けている。

「んっ……ぁ……」

意識が白く霞む中、絶頂の激しい余韻で、肉体がビクンッ、ビクンッと勝手に痙攣を繰り返す。そのたびに手足を繋ぐ冷たい金属が空しく音を立てている。普段の私がまとっている、誇り高く気丈な妻としてのプライドなど、もう欠片も残っていない。彼の前でだけ見せてしまう、逆らえない従順な本性を髄の先まで暴き出され、徹底的に支配し尽くされてしまった。身体に傷を残さないこの拘束具によって、私の心だけが不可逆なまでに深く、彼に作り替えられてしまった。

不意に、彼は私の汗ばんだ首筋にゆっくりと冷たい指を這わせ、顔に張り付いていた乱れた髪をそっと払いのけた。これまでの一切の容赦がない態度とは裏腹な、そのひどく静かな仕草に私は思わず息を呑む。見上げた彼の冷徹な瞳の奥には、私という存在を誰にも渡さないとでもいうような、昏く歪んだ執着の色が一瞬だけ揺らめいていた。

「美香……美しいよ。この誰にも見せられない別の美香は、俺だけのものだ」

耳元でひそやかに囁かれたその言葉で私は胸をわしづかみにされた感覚に陥った。
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