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名馬の城
第3章 野武士の謀
ところが予想に反して野武士たちは
「必ずやひと月で完成させるゆえ、姫をいただきたい」
と言ってのけた。
これは大誤算だった。
次の日、野武士は職人たちと馬数頭を連れてきた。
驚いたことに黒鹿毛と名付けられた黒馬が恐ろしいほどの働きをした。
それはあの厩舎で見かけた馬だった。
明るいところで見ると、その体は筋骨隆々、漆黒の毛並みにふさふさとしたたてがみが風にたなびき、馬ではあれど見惚れてしまうような魅力があった。
勾配のきつい山道にもかかわらず、一度に他の馬よりもたくさんの資材を運び続ける。
槻弓はなるべく黒鹿毛を視界にいれないようにした。
野武士たちの指示のもと職人たちが手際よく運ばれた資材を杭の形に加工し、見事な速さで柵として組み上げていった。
そしてなんと二十日経つ頃には完成が目前に迫っていたのだ。
城主が家臣たちが焦りだしたのは言うまでもない。
その頃、槻弓は野武士たちが城付近に仮の宿として作った簡易小屋に昼は鳥に、夜は野鼠の姿になって潜伏した。
野武士たちには必ず何か裏があるはずだ、と槻弓は踏んだ。
しかしなかなか尻尾を出そうとしない。
心の内に秘めているとしてもそれをどこかで言葉なり行動なりに出してくれなければ、槻弓は知ることができないのだ。
口は災いのもと、というが普段からどのような場であっても軽口や無駄口を叩かないようにしているのだろう。なんと統制の取れた連中だ、と呆れると同時に敵ながら見事なものだと感心してしまった。
「必ずやひと月で完成させるゆえ、姫をいただきたい」
と言ってのけた。
これは大誤算だった。
次の日、野武士は職人たちと馬数頭を連れてきた。
驚いたことに黒鹿毛と名付けられた黒馬が恐ろしいほどの働きをした。
それはあの厩舎で見かけた馬だった。
明るいところで見ると、その体は筋骨隆々、漆黒の毛並みにふさふさとしたたてがみが風にたなびき、馬ではあれど見惚れてしまうような魅力があった。
勾配のきつい山道にもかかわらず、一度に他の馬よりもたくさんの資材を運び続ける。
槻弓はなるべく黒鹿毛を視界にいれないようにした。
野武士たちの指示のもと職人たちが手際よく運ばれた資材を杭の形に加工し、見事な速さで柵として組み上げていった。
そしてなんと二十日経つ頃には完成が目前に迫っていたのだ。
城主が家臣たちが焦りだしたのは言うまでもない。
その頃、槻弓は野武士たちが城付近に仮の宿として作った簡易小屋に昼は鳥に、夜は野鼠の姿になって潜伏した。
野武士たちには必ず何か裏があるはずだ、と槻弓は踏んだ。
しかしなかなか尻尾を出そうとしない。
心の内に秘めているとしてもそれをどこかで言葉なり行動なりに出してくれなければ、槻弓は知ることができないのだ。
口は災いのもと、というが普段からどのような場であっても軽口や無駄口を叩かないようにしているのだろう。なんと統制の取れた連中だ、と呆れると同時に敵ながら見事なものだと感心してしまった。

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