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名馬の城
第3章 野武士の謀
野鼠に姿を変えた槻弓は一目散に城へ戻った。

話を聞くに、やはり彼らは武田の間者であり、城壁を造ると言って梓弓城の守りや見張りの情報を得て、城外へ抜ける隠し通路を潰すために雇われていたのだった。

頭の前に置かれたのはそれらの情報が書き記された梓弓城の絵図だったのだ。

「そろそろこれを信玄様に献上しよう。」

とまで言っていた。

野武士たちはこのまま城壁を完成させた後、城に居座り間者を続け、味方が攻めてきたときに内側から城門を開ける魂胆であろう。姫がほしいと言ったのは、名目上妻として側におき城が落ちるときに逃がさぬようにすることで、人質にして今後の交渉材料にするにちがいなかった。

いずれにせよ絵図が武田側に渡ったら大変なことになる。

女に姿を変えて尻を触らせてまで、馬酔酒を野武士たちに飲ませてよかった、と槻弓は思った。

さきほど、酒を届けた女も槻弓だったのだ。

やっぱり男に尻を触られるなど気色悪くてたまらない。

あの夢はいまだにはっきり覚えている。
男に体をまさぐられ、吐精までさせられて「気持ちいい」と感じる方がおかしいのだ。
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