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名馬の城
第4章 陽動作戦
槻弓が急ぎ、城に戻ると怒りと焦りに満ちた城主と家臣たちが待ち構えていた。

特に城主は怒りで全身は震え、顔には青筋が立っている。

「これでは話が違うではないかっ!!」

槻弓はつとめて冷静に言った。

「殿のお怒りはごもっともでございます。私もこれほど早く城壁を造り上げるとはおもっておりませんでした。されど、城壁はこの私が完成はさせぬゆえ、ご安心ください。」

「そなたの言うことなど、安心などできるものか。」

「奴らは武田の間者です。城壁を築くと言って、この城の兵が置かれている場所を調べたり、城外へ通じる通路を潰すために遣わされたのです。それを絵図にまとめて逃げる気です。明朝、馬の逃走を装って城より抜け出す者がいたら、一人残らず捕まえてください。」

突拍子もない発言に城主は余計に怒りをあらわにした。

「武田の間者だと?そんな証拠がどこにある?」

「捕らえてみればわかります。城の絵図を必ず持っているはず。もし、私の申したことに一つでも誤りがあれば私の命をもって償います。」


槻弓の鬼気迫る表情に押され、城主は渋々承諾した。

「お前の言っていることが誤りであれば、そのときはお前の命はなきものと思え。」
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