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Dilemma
第2章 【過去一好きだった元カレ】





「祖母が……運ばれたって、今、病院から」



声を出すのがやっとだ
頭の中、真っ白
立ち尽くすばかりでどうすれば良いか
わからない
「何処の病院?」と聞かれて
ちゃんと答えれたかどうかも判断つかない
肩を掴まれてようやく元カレと目が合った



「大丈夫だから、俺が連れて行く」



後輩に事情を話し、退社する事と
荷物を持ってきて欲しいと頼んでくれたのも元カレ
震える指先で口を覆った
抱き寄せられて優しい手が背中を擦る



「きっと無事だ、心配するな」



頭上でしたその声がどれほど心強かったか
すでに泣きそうな私に
「安心しろ、俺がついてる」って頬を拭ってくれた
その後すぐに病院へ向かう



「成瀬先輩…!」



後ろから呼び止められて振り返ると
息を切らした圭くんが居た
状況が状況なだけに私の元カレを交互に見て
「どういう事ですか?」と尋ねる
後輩から聞いて飛び出して来たのだろう



「悪い、急いでるんだ、事情は後から聞いて」



行こう、と腕を引く元カレに従う私
動揺しているとはいえ、
こんな場目、見たくなかったよね
それでも圭くんは引き下がらなかった



「だから何故あなたが一緒に?」



立ち止まる元カレはもう一度振り向いて



「救急搬送されたのは彼女のたった一人の身内だ、俺もよく知っている、悪いが今はキミの出る幕じゃない」



再び腕を引かれてそのまま向かった
最後、圭くんと目が合った
ごめん…としか言えなかったよ



向かっている途中も不安や恐怖で泣いてしまう
ハンカチを渡され、信号待ちで手を握られた
「大丈夫」って何度も言い聞かせてくれる



そう、元カレが言うように私には祖母だけだった



両親は私が小学生の時に離婚した
親権は母親だったが海外で仕事をする為
年に二回ほど会うだけ
ほとんどを祖母と過ごしてきた
私の母親代わりだった
高校を進学する時に母親は
私と一緒に暮らしたいと言ってきたけど
祖母を一人にしたくはないので断った
バンバン稼いで、祖母を楽にしてあげたかった
月に一度は会いに行ってたのに……
何も気付いてあげれなかったの……







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