この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Dilemma
第2章 【過去一好きだった元カレ】
病室に着くと処置はもう施されていて
過労による貧血、栄養失調、脱水との事
点滴が繋がった細い腕
血の気はなく、顔色も悪い
こんな姿になるまで……
昔から責任感の強い人だった
歳はもう80を越えたところだと思う
未だにボランティアで社会に貢献している
最近は仕事も忙しく寄れていなかった
電話では元気そうにしていたのに……
しわくちゃの手を握り締めて、
微かな温かみを感じるとまた溢れ出てきた
すぐ傍でただ一緒に居てくれた元カレにも
感謝しつつ、検査入院の手続きをした
明日、また面会時間に来る事に
「お婆ちゃん、持病があったなんて知らなかった」
隠れて薬飲んでたのかな
心配かけたくなくて黙ってたんだよね…?
自分にばっか負担かけて
私はそれを知らずに好き勝手させてくれてた
肩を震わせ泣き崩れる私を
何も言わずそっと胸を貸してくれる
「立派なお婆ちゃんだよな、頑張り過ぎた分、今はゆっくり休んでもらおう?大丈夫、今は誰も見てない、思いきり泣け、俺しか居ないから」
人前で泣くなんて事は一度もなかった
付き合ってた時さえなかったよ
別れる時も彼の前では気丈に振る舞えてた
こんな風に箍が外れたように泣くなんて事……
ネクタイ汚しちゃったかも、ごめん……
グッと抱き寄せられて子供みたいに泣いちゃった
安心出来る腕の中で流されそうになった
ハッと気付いて「ごめん」と離れる
見上げた時の優しい顔
かつて好きで堪らなかった顔だ
少しでも甘い雰囲気になるのは極めて危険
「送るよ」と助手席に乗ると
上手くシートベルトが出来なくて手こずってると
手が伸びてきて装着してくれた
「相変わらずだな、わざとか?」
「そんなあざとくないし」
「まだ俺の前でもあざとく居てくれるんだってちょっと今、嬉しかったんだけど?」
「ねぇ、やめてってば」
バシッとパンチお見舞いしてあげるも掴まれて
そのまま引き寄せられた
顔が近くて一瞬、息を呑む

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


