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Dilemma
第3章 【同期入社の戦友、眼中にもなかった同僚】
「俺が自分から誘ってこんな小洒落たお店に連れてくるのはお前だけ」
真っ直ぐ見据えながら言われると調子が狂う
「そ、そうなんだ」くらいしか言えない
仕事の話を振っても
「今はプライベートだからその話はまた今度」
とか言って遮られちゃうし
サラッとメニュー見てワインもセレクトしてきた
あれ?黒田って本当にわかんない奴
「ねぇ、そんなにじっと見られると調子狂うんだけど?」
「…悪い、噛み締めてた」
「え、何を?」
「成瀬とプライベート過ごしてんだなって」
「ま、まぁ…確かに、初めてかもね?」
「うん、だから今、すげぇ噛み締めてる」
「やめてよ」
思わず笑ってしまった
普段の黒田からは絶対に出てこないような
セリフだったから
美味しいコース料理に舌鼓を打ち
お見合いかってくらい初めまして…な
会話を繰り広げた
逆にそれが新鮮で、新たな発見もあり
終始にこやかに過ごせたと思う
お酒も進み、程良く酔えて気も大きくなった頃
お店側からオススメだと聞いたワインも
グラス一杯飲んじゃって
外に出た時には少しふらついて支えてもらった
「待てって、勝手に行くな、危ないから」
「ん〜最後のめっちゃ美味しかった〜」
「だな、また連れて来てやるから真っ直ぐ歩いてくれ」
「うん…!」
「え?大丈夫か?」
支えてもらいながら元気良く返事したらしい
「大丈夫、大丈夫」
「ほら、タクシー乗るぞ」
「え〜ヤダヤダ、歩く」
「歩くったって、このまま電車に乗れないだろ」
「風が気持ち良いもん」
「じゃあ、タクシー乗り場まで歩くか」
「え、やった!うん!」
完全に酔ったらしい私はずっとケタケタと
笑っていたそうな
手を引かれ歩き出す二人
途中でやっぱりよろけるから腰から支えられ
「マジで我慢出来なくなるからこれ以上可愛いとこ見せるな」って頭上で言われ顔を上げる
身長差はヒール履いてても見上げるほどあって……

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