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監禁願望の女
第10章 監禁生活Ⅰ
弥生はようやく、自分が何もされていないことに気づいた。男は頭を押さえつけるためではなく、髪を下ろすために近づいただけだった。
それでも、抗うのをやめて緩めた唇は、開いたままになっていた。
口の中に溜まった唾が、舌の上で動かない。男の香りを、この口から吸いこむつもりでいた。
「風呂へ行くぞ……」
弥生は息を呑み、開いていた唇を慌てて結んだ。視線は自然と男の手にあるかんざしへ落ちていく。睫毛がゆっくりと伏せられ、結んだ唇が、下唇をそっと噛んだ。
それでも、落としたはずの視線が一度だけ持ち上がる。男の両脚の間へ戻り、すぐに逸れた。
そのあとで、遅れて追いついた。
下ろされた髪は、行為の代わりではなかった。朝なのに、外向けの形を外されただけだった。縛られた両手は、自分で体を洗う自由を、先に奪われていた。
男の指が、次は浴室で自分の曲線を撫で下ろしていく。それがここでの生活の一部になる。梳かれて預けてしまった熱が、洗う手の先へつながっていく。その想像を、自分が拒めずに受け取っている。気づいた瞬間、弥生の肉体の芯からは、とろりと羞恥の雫が溢れていた。
「……はい」
遅れてこぼれた声は、濃厚な男の香りの中へ小さく消えていった。縛られた左右の手首は、縄の中で落ち着かず擦れ合っていた。
それでも、抗うのをやめて緩めた唇は、開いたままになっていた。
口の中に溜まった唾が、舌の上で動かない。男の香りを、この口から吸いこむつもりでいた。
「風呂へ行くぞ……」
弥生は息を呑み、開いていた唇を慌てて結んだ。視線は自然と男の手にあるかんざしへ落ちていく。睫毛がゆっくりと伏せられ、結んだ唇が、下唇をそっと噛んだ。
それでも、落としたはずの視線が一度だけ持ち上がる。男の両脚の間へ戻り、すぐに逸れた。
そのあとで、遅れて追いついた。
下ろされた髪は、行為の代わりではなかった。朝なのに、外向けの形を外されただけだった。縛られた両手は、自分で体を洗う自由を、先に奪われていた。
男の指が、次は浴室で自分の曲線を撫で下ろしていく。それがここでの生活の一部になる。梳かれて預けてしまった熱が、洗う手の先へつながっていく。その想像を、自分が拒めずに受け取っている。気づいた瞬間、弥生の肉体の芯からは、とろりと羞恥の雫が溢れていた。
「……はい」
遅れてこぼれた声は、濃厚な男の香りの中へ小さく消えていった。縛られた左右の手首は、縄の中で落ち着かず擦れ合っていた。

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