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監禁願望の女
第10章 監禁生活Ⅰ
正面には男。
背後には、今しがた越えてきた引き戸。
鏡の前で想像したことが、もう想像だけではなくなっていた。
男が弥生の横を通り過ぎる。
背後で、引き戸が静かに滑り始めた。
男は引き戸を閉じると、右手の壁際に置かれた木の椅子を指さした。
「座って……」
弥生は小さく頷き、椅子へ近づく。縛られた両手を裸の前へ揃え、濡れた床に足を滑らせないよう、ゆっくりと腰を下ろした。
男へ背中を向け、壁を前にして座っていた。
そうしていれば、自分から男の視線を見なくて済む。下ろされた髪も、背中から腰までを隠してくれる。
「逆だ……」
弥生の肩が、ぴくりと揺れた。
恐る恐る振り返ると、男が自分の正面を指で示している。
弥生は椅子から腰を浮かせた。濡れた石の上で裸の足を一歩ずつ動かし、男と向かい合うように座り直す。背中へ逃がしていた長い髪が、肩を越えて胸元へ流れた。
隠していた体が、再び男の前へ現れる。
向かい合った先に、裸の男が立っていた。曇り窓からの光は、男の横顔を影に残し、肩の丸みだけを拾っていた。弥生はそこから目を外そうとして、外しきれなかった。光の届かない脚の間で、男のものが、自分のほうへ傾いたまま動かなかった。
「ハッ……」
弥生はとっさに目を伏せた。けれど、低い椅子へ座った今、視線を落とした先にあるのは、男の足元ではなかった。立って見上げていたときよりも近い。
――こんなに……。
背後には、今しがた越えてきた引き戸。
鏡の前で想像したことが、もう想像だけではなくなっていた。
男が弥生の横を通り過ぎる。
背後で、引き戸が静かに滑り始めた。
男は引き戸を閉じると、右手の壁際に置かれた木の椅子を指さした。
「座って……」
弥生は小さく頷き、椅子へ近づく。縛られた両手を裸の前へ揃え、濡れた床に足を滑らせないよう、ゆっくりと腰を下ろした。
男へ背中を向け、壁を前にして座っていた。
そうしていれば、自分から男の視線を見なくて済む。下ろされた髪も、背中から腰までを隠してくれる。
「逆だ……」
弥生の肩が、ぴくりと揺れた。
恐る恐る振り返ると、男が自分の正面を指で示している。
弥生は椅子から腰を浮かせた。濡れた石の上で裸の足を一歩ずつ動かし、男と向かい合うように座り直す。背中へ逃がしていた長い髪が、肩を越えて胸元へ流れた。
隠していた体が、再び男の前へ現れる。
向かい合った先に、裸の男が立っていた。曇り窓からの光は、男の横顔を影に残し、肩の丸みだけを拾っていた。弥生はそこから目を外そうとして、外しきれなかった。光の届かない脚の間で、男のものが、自分のほうへ傾いたまま動かなかった。
「ハッ……」
弥生はとっさに目を伏せた。けれど、低い椅子へ座った今、視線を落とした先にあるのは、男の足元ではなかった。立って見上げていたときよりも近い。
――こんなに……。

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