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監禁願望の女
第10章 監禁生活Ⅰ
かちり、と響いた音のあとも、湯は止まらなかった。
高いところから斜めに降り注ぎ、濡れた髪を叩き、首筋から肩へ流れていく。弥生は自ら髪に湯を当てるように、そこから動かなかった。
立ち込める湯気が、漆喰の壁も、男の姿も、薄く滲ませている。息を吸うたび、湿った温かさが喉の奥まで入り込んだ。濡れた髪と麻縄の匂いまで湯気に混じり、弥生のまわりから、乾いたものを一つずつ消していく。
その中で、頬を撫でる男の指だけが、はっきりと感じられた。
男の膝が床へつく。男の体が低くなるにつれ、湯気の向こうに霞んでいた気配が、弥生のすぐ前へ降りてくる。閉じていた瞼の向こうまで、その近さが伝わってきた。
弥生の目が開く。
見上げた先に、湯気に濡れた男の顔がある。男の体が弥生の前を塞ぎ、広かったはずの浴室が、二人を囲むほどの狭さへ変わっていった。
男の親指が、頬の上をゆっくりと滑った。
「弥生、かわいいな……」
水音に包まれていた耳へ、その声だけが深く入り込んだ。
「あ……」
『かわいいな』という言葉に胸の奥が一気に熱くなる。羞恥に縮まりかけた体を、肩へ落ち続ける湯が温めていく。
高いところから斜めに降り注ぎ、濡れた髪を叩き、首筋から肩へ流れていく。弥生は自ら髪に湯を当てるように、そこから動かなかった。
立ち込める湯気が、漆喰の壁も、男の姿も、薄く滲ませている。息を吸うたび、湿った温かさが喉の奥まで入り込んだ。濡れた髪と麻縄の匂いまで湯気に混じり、弥生のまわりから、乾いたものを一つずつ消していく。
その中で、頬を撫でる男の指だけが、はっきりと感じられた。
男の膝が床へつく。男の体が低くなるにつれ、湯気の向こうに霞んでいた気配が、弥生のすぐ前へ降りてくる。閉じていた瞼の向こうまで、その近さが伝わってきた。
弥生の目が開く。
見上げた先に、湯気に濡れた男の顔がある。男の体が弥生の前を塞ぎ、広かったはずの浴室が、二人を囲むほどの狭さへ変わっていった。
男の親指が、頬の上をゆっくりと滑った。
「弥生、かわいいな……」
水音に包まれていた耳へ、その声だけが深く入り込んだ。
「あ……」
『かわいいな』という言葉に胸の奥が一気に熱くなる。羞恥に縮まりかけた体を、肩へ落ち続ける湯が温めていく。

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