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監禁願望の女
第5章 牢
縄は足首を一つに束ねるだけでなく、爪先に近い足の甲から足裏へも回されていく。両足首を擦り合わせて縄を緩めることも、その足で立ち上がり、牢の外へ歩くこともできないように、残されていた動きまで封じられていった。

男が立ち上がり、その場を離れていった。

弥生は薄く開いた目で男の姿を追っていた。体は無意識に前へ向かおうとするが、格子に括りつけられた縄が、それを許さない。男を追うように首を伸ばしても、遠ざかる姿へ近づくことはできなかった。

男は小さな扉をくぐり、それを閉めた。角材の閂(かんぬき)が牢の外側に渡され、そこに金物の錠前が施された。

弥生は牢の外を歩く男を目で追った。やがてその姿が石段へ差しかかると、聞こえるのは上っていく足音だけになった。一段、また一段と遠ざかり、最後の足音が石段の上へ消えていった。

裸電球の明かりが消えた。

弥生の目には、赤黒い光の残像だけが浮かんでいた。それも次第に薄れ、石壁も木格子も、すべてが同じ暗闇に呑み込まれていった。

その暗闇の中で、隠し扉が閉じられる重い音が響いた。

男の気配が、完全に消えた。

弥生は何も見えない中で目を見開いていた。男が消えた石段の方角から、どうしても顔を背けることができなかった。
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