この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ
監禁願望の女
第5章 牢
弥生の意識に、男が目の前へ掲げた一枚の紙が浮かんだ。

まさか、誓約書まで交わすことになるとは思っていなかった。誓約書の最初には、『私、○○は――』と書かれていた。その空白へ自分の名前を当てはめ、坪井弥生、二十七歳と、自らの声で読み上げた。

それまで匿名のまま隠していた願望を、自分の名前で認める文章だった。その全文を最後まで読み上げることで、弥生は男に自由を預けた。

その声は録音されていた。震えていた声も、途中で息を継いだ間も、すべて男のスマホに残っている。思い出すだけで、顔が熱くなった。

しかも男が合図を決めようと尋ねたとき、いらないと答えたのは自分だった。二つの条項を削除し、解放を求める言葉を口にしても、日曜日の夜まで続けてほしいと、自分から言い直した。どうして、あんなことを言えたのだろう。

あの時も怖かった。それでも車内には男がいて、自分の言葉を聞いていた。これから何かが始まるという緊張の中で、それを望んでいる自分を、男に知ってほしかったのかもしれない。

けれど今、男はいなかった。残されたのは、誓約書どおりに自由を失った自分だけだった。

弥生は乱れた息を整えようとした。大きく吸い込むことができず、短い息を何度も継いだ。

私で良かったのだろうか。その不安が、今になって胸の中へ浮かんだ。男は満足したのだろうか。久しぶりで余裕もなく、怖がってばかりいた自分に、失望しなかっただろうか。自分でも知らなかった声を出し、恥ずかしいほど体を濡らし、最後には力を失ってしまった姿を、男はどう思ったのだろう。聞きたくても、男はいなかった。

再び目を開き、石段があるはずの暗闇を見つめた。一人になれて安心したはずだった。それなのに、男が戻ってこなければ、自分がどう思われたのかさえ分からない。そのことが、牢へ閉じ込められた恐怖とは違う心細さとなって、胸の奥に残っていた。
/167ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ