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監禁願望の女
第6章 眠りの奥――体の記憶
***
弥生は体を前へ深く屈め、全身を捕らえる縄の重みへ身を預けたまま、深い眠りに落ちていた。
猿ぐつわの結び目に押し広げられた唇は、眠りが深まるにつれて力を失い、閉じることなく開いたままになっていた。項垂れた口元からは、透明な唾液が細い糸を引き、襦袢に包まれた脚へ静かに滴り落ちていた。
夢の底に沈みながらも、結び目を咥えた口元だけが小刻みに動いていた。舌の上を押さえつける硬い結び目を押し戻そうとするように、弥生は眠りの中でなお、無意識に舌を伸ばし続けていた。
***
弥生は目を閉じ、そこへ重ねられた誰かの口づけを受け入れていた。猿ぐつわによって無防備に押し広げられた上唇と下唇を、そっと挟むように、確かめるような優しさで触れてくる。
彼女は、その微かな感触と温度だけで、それがかつての恋人である拓海(たくみ)のキスだと気づいていた。
「弥生……知らなかった……こんな願望があったんだね……」
暗がりから落ちてくる拓海の静かな声は、驚きと同時に、すべてを見透かしたような酷い愛おしさを孕(はら)んでいた。
拓海は弥生の頬に優しく両手を添え、押し広げられた彼女の唇へとしなやかに舌を這わせていた。
弥生は体の自由を奪われながらも、貪るように迫る彼の舌に応えようと、口内で必死に舌を伸ばそうとする。しかし、舌の上を押さえつける固い猿ぐつわの結び目が冷酷な壁となり、どうしても拓海の舌まで届かない。
「んぐぅ……」
応えたいのに届かない歯痒さと悲痛さに、弥生は束ねられた体を小さくよじり、叶わぬ想いと焦燥を声にならない声として絞り出すことしかできなかった。
拓海は弥生の頬に触れながら、ふっと柔らかく微笑んでいた。視線の先にあるその顔は、彼女のよく知る、メガネを外したときの無防備で優しい拓海の素顔だった。
弥生は体を前へ深く屈め、全身を捕らえる縄の重みへ身を預けたまま、深い眠りに落ちていた。
猿ぐつわの結び目に押し広げられた唇は、眠りが深まるにつれて力を失い、閉じることなく開いたままになっていた。項垂れた口元からは、透明な唾液が細い糸を引き、襦袢に包まれた脚へ静かに滴り落ちていた。
夢の底に沈みながらも、結び目を咥えた口元だけが小刻みに動いていた。舌の上を押さえつける硬い結び目を押し戻そうとするように、弥生は眠りの中でなお、無意識に舌を伸ばし続けていた。
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弥生は目を閉じ、そこへ重ねられた誰かの口づけを受け入れていた。猿ぐつわによって無防備に押し広げられた上唇と下唇を、そっと挟むように、確かめるような優しさで触れてくる。
彼女は、その微かな感触と温度だけで、それがかつての恋人である拓海(たくみ)のキスだと気づいていた。
「弥生……知らなかった……こんな願望があったんだね……」
暗がりから落ちてくる拓海の静かな声は、驚きと同時に、すべてを見透かしたような酷い愛おしさを孕(はら)んでいた。
拓海は弥生の頬に優しく両手を添え、押し広げられた彼女の唇へとしなやかに舌を這わせていた。
弥生は体の自由を奪われながらも、貪るように迫る彼の舌に応えようと、口内で必死に舌を伸ばそうとする。しかし、舌の上を押さえつける固い猿ぐつわの結び目が冷酷な壁となり、どうしても拓海の舌まで届かない。
「んぐぅ……」
応えたいのに届かない歯痒さと悲痛さに、弥生は束ねられた体を小さくよじり、叶わぬ想いと焦燥を声にならない声として絞り出すことしかできなかった。
拓海は弥生の頬に触れながら、ふっと柔らかく微笑んでいた。視線の先にあるその顔は、彼女のよく知る、メガネを外したときの無防備で優しい拓海の素顔だった。

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