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監禁願望の女
第6章 眠りの奥――体の記憶
***
猿ぐつわの結び目に潰された吐息が、現実の喉の奥でひとつ詰まった。
弥生は重い瞼を開いた。
拓海の優しい素顔は露のように消え、暗がりに沈む木の格子だけが目の前に残されていた。胸の奥には、夢の中で束の間だけ拓海に逢えた甘やかな余韻と、最も触れられたくない心の底を見透かされた恥じらいが、複雑な渦となって残っていた。
項垂れた口元からは透明な唾液が糸を引き、白い襦袢に包まれた脚へ落ち、小さな淡い染みを作っていた。その湿った痕跡に気づいた瞬間、弥生の目が少しだけ見開かれた。夢の中で結び目を噛みしめていた感覚が、現実の口元にまで残っている。眠っている間も自分の体が反応していたことに驚きながらも、慌てたところで何も変えられないことを、すぐに理解した。
こぼれた水が二度と器に戻らぬように、この濡れた染みこそが、彼女が秘めていた欲望を露わにしてしまった証しだった。自分の中でその欲望を押し留めていた最後の蓋もすでに外れ、秘めていたものは白い布に収まりきらず、現実にまで漏れ出していた。もはや、ここでは隠せるものは何もないのだと、弥生は静かに悟っていた。
顔を上げようと首に力を入れた途端、胸の上下を挟む縄が襦袢の絹を引き寄せた。眠る前よりも縄が近い気がした。胸を膨らませようとしても、二本の太い筋がすぐに張り、浅いところで呼吸を押し戻してきた。
「ン……」
弥生は無意識のうちに、首を反らせていた。
猿ぐつわの結び目に潰された吐息が、現実の喉の奥でひとつ詰まった。
弥生は重い瞼を開いた。
拓海の優しい素顔は露のように消え、暗がりに沈む木の格子だけが目の前に残されていた。胸の奥には、夢の中で束の間だけ拓海に逢えた甘やかな余韻と、最も触れられたくない心の底を見透かされた恥じらいが、複雑な渦となって残っていた。
項垂れた口元からは透明な唾液が糸を引き、白い襦袢に包まれた脚へ落ち、小さな淡い染みを作っていた。その湿った痕跡に気づいた瞬間、弥生の目が少しだけ見開かれた。夢の中で結び目を噛みしめていた感覚が、現実の口元にまで残っている。眠っている間も自分の体が反応していたことに驚きながらも、慌てたところで何も変えられないことを、すぐに理解した。
こぼれた水が二度と器に戻らぬように、この濡れた染みこそが、彼女が秘めていた欲望を露わにしてしまった証しだった。自分の中でその欲望を押し留めていた最後の蓋もすでに外れ、秘めていたものは白い布に収まりきらず、現実にまで漏れ出していた。もはや、ここでは隠せるものは何もないのだと、弥生は静かに悟っていた。
顔を上げようと首に力を入れた途端、胸の上下を挟む縄が襦袢の絹を引き寄せた。眠る前よりも縄が近い気がした。胸を膨らませようとしても、二本の太い筋がすぐに張り、浅いところで呼吸を押し戻してきた。
「ン……」
弥生は無意識のうちに、首を反らせていた。

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