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監禁願望の女
第7章 生贄Ⅰ
「ふぅ……ふぅ……」
猿ぐつわの結び目を噛みしめたまま、弥生は鼻から熱い息を途切れ途切れに漏らした。男の位置を探ろうと、縋るように顎を持ち上げる。けれど、目元を覆う幾重もの白布の向こうには、底の知れない暗闇があるだけだった。
背後へ引き据えられた両腕にも、横へ崩した両脚にも、思わず力が入る。弥生が身を強張らせるたび、襦袢越しに体を締める麻縄が、ギチ……と乾いた摩擦音を返した。
やがて、板の軋みが途切れた。
弥生は顔を正面へ戻しかけた。だが、そこに男が立っているという確信を持てず、首を傾けたまま動きを止めた。
荒い呼吸だけが静寂を乱していた。鼻先を掠める男の匂いと、どこからともなく届く衣擦れを求め、目隠しに覆われた顔が、暗闇の中をゆっくりと彷徨っていた。
男は何も告げず、弥生からわざと距離を取るように、牢の入口へ向かって歩き始めた。
板を踏む音が一歩ずつ遠ざかるたび、弥生は目隠しに覆われた顔をその方角へ向け、消え入りそうな気配を追い続けた。
やがて、小さな格子戸が低く軋んだ。
男は牢の内側に残ったまま扉を引き寄せ、弥生の耳へ聞かせるように、ゆっくりと閉じていく。
その音を、弥生は男が自分を置いて外へ出た音だと思った。
「ンッ……!」
弥生の顔が勢いよく持ち上がり、閉じた扉の方角へ向けられた。置いていかれる恐怖に駆られ、弥生は男を呼び止めるように肩を揺らし、上体を前へ進ませようと何度も身をよじった。
背中から格子へ伸びる縄がぴんと張り、両腕を包む幾筋もの麻縄が白い絹を引き絞る。体を揺らすたび、縄の軋む音だけが牢の中へ重なっていった。
「ンンッ……ンッ……!」
弥生は息を詰め、扉の向こうへ耳を澄ませた。
だが、遠ざかっていくはずの男の足音は、いつまで待っても聞こえなかった。
猿ぐつわの結び目を噛みしめたまま、弥生は鼻から熱い息を途切れ途切れに漏らした。男の位置を探ろうと、縋るように顎を持ち上げる。けれど、目元を覆う幾重もの白布の向こうには、底の知れない暗闇があるだけだった。
背後へ引き据えられた両腕にも、横へ崩した両脚にも、思わず力が入る。弥生が身を強張らせるたび、襦袢越しに体を締める麻縄が、ギチ……と乾いた摩擦音を返した。
やがて、板の軋みが途切れた。
弥生は顔を正面へ戻しかけた。だが、そこに男が立っているという確信を持てず、首を傾けたまま動きを止めた。
荒い呼吸だけが静寂を乱していた。鼻先を掠める男の匂いと、どこからともなく届く衣擦れを求め、目隠しに覆われた顔が、暗闇の中をゆっくりと彷徨っていた。
男は何も告げず、弥生からわざと距離を取るように、牢の入口へ向かって歩き始めた。
板を踏む音が一歩ずつ遠ざかるたび、弥生は目隠しに覆われた顔をその方角へ向け、消え入りそうな気配を追い続けた。
やがて、小さな格子戸が低く軋んだ。
男は牢の内側に残ったまま扉を引き寄せ、弥生の耳へ聞かせるように、ゆっくりと閉じていく。
その音を、弥生は男が自分を置いて外へ出た音だと思った。
「ンッ……!」
弥生の顔が勢いよく持ち上がり、閉じた扉の方角へ向けられた。置いていかれる恐怖に駆られ、弥生は男を呼び止めるように肩を揺らし、上体を前へ進ませようと何度も身をよじった。
背中から格子へ伸びる縄がぴんと張り、両腕を包む幾筋もの麻縄が白い絹を引き絞る。体を揺らすたび、縄の軋む音だけが牢の中へ重なっていった。
「ンンッ……ンッ……!」
弥生は息を詰め、扉の向こうへ耳を澄ませた。
だが、遠ざかっていくはずの男の足音は、いつまで待っても聞こえなかった。

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