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素敵な笑顔
第16章 詩 出棺
 彩音のことなんか見てない。
全然見てない。
一度も見たことないって断言してもいい。
なんなら、え、彩音って誰? 
って言ってもいいくらいだ。
それなのに、あたしがいつ彩音を見ていたというのだ。
誤解を招くような発言は謹んで頂きたい。
いくらしのぶさんでも、
あたしだって怒るときは怒るよ!

「あの子、すごく怯えてるみたい」

「え? ああ。火葬場付きの斎場だからね。
たくさん見えてるんだと思う。
私がついていてあげればいいんだけど、
色々としなきゃならないことがあって」

 葬儀屋さんと打ち合わせとか、
来てくれたひとたちに挨拶とか、色々とあるらしい。

「詩ちゃん悪いんだけど、
あの子のそばにいてやってくれない?」

 は? って思った。
なんであたしがって言いかけたけど、
まあ声にも顔にも出さないでおいてあげた。
そんなに怖いなら、無理してこなくていいのにね! 
世話の焼ける子だ。
でもしのぶさんの頼みじゃあ断れない。

 まったく、しょうがねぇな!
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