この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
素敵な笑顔
第17章 音 キス
「ああもう、まどろっこしいわね」
肩を抱かれ、ぐいっと引き寄せられた。
たぶん一瞬、それどころか数秒、心臓が止まった。
止まったと思うくらい、胸が苦しかった。
これはほんとうに起こっている出来事だろうか。
動けない。少しでも動くと、
現実にひびが入って世界が崩壊してしまいそう。
どきどきしているのがばれてしまう。
女同士でなに発情してるのよって、気味悪がられる。
不意に昨夜のことを思い出した。
ドールを手に取り、
金髪とグリーンの瞳を脳内で黒に変換していたとき、
わたしは、ドールの衣装を脱がせたい
という激しい衝動に駆られた。
指先が震えるほど緊張して、畏れ多い気がして、
できなかったけど。
どうして今、それを思い出すの?
間近で感じる詩子さんは、
さっきまでより何倍何十倍も素敵で、
ドールでは感じられなかった生命力がある。
信じられないくらいいい匂いがして、
頭がくらくらする。
勘違いしちゃいけない。
怖がっているわたしを見兼ねて、
詩子さんはわたしの肩を抱いてくれているだけ。
そこにそれ以上の意味はないのだ。
必死にそう考えようとするのだけど、
わたしのものとは違う心音がそれを邪魔してくる。
どうしてわたしとおなじくらい、
詩子さんもどきどきしているの?
詩子さんの体温に温められて、
詩子さんの腕の力が強くなって、
もっとぎゅうっと抱きしめられて、
やがてふたりの、別々の鼓動がシンクロしていく。
詩子さんが、わたしの顔をじっと見ていた。
すごく近くで。
吐息を感じるくらい近く。
いつものわたしなら目を逸らせてしまうはずなのに、
そうできなかった。
逸らせたくないっていうのが、たぶん本音。
わたしの吐き出す二酸化炭素が、
詩子さんの二酸化炭素と溶けて混じり合う。
なんて官能的。
詩子さんとは知り合ったばかりなのに、
ずっとこうしたかったと思っていた。
前から。
ずっと昔から。
生まれてからずっと。
あるいは、生まれる前から。
肩を抱かれ、ぐいっと引き寄せられた。
たぶん一瞬、それどころか数秒、心臓が止まった。
止まったと思うくらい、胸が苦しかった。
これはほんとうに起こっている出来事だろうか。
動けない。少しでも動くと、
現実にひびが入って世界が崩壊してしまいそう。
どきどきしているのがばれてしまう。
女同士でなに発情してるのよって、気味悪がられる。
不意に昨夜のことを思い出した。
ドールを手に取り、
金髪とグリーンの瞳を脳内で黒に変換していたとき、
わたしは、ドールの衣装を脱がせたい
という激しい衝動に駆られた。
指先が震えるほど緊張して、畏れ多い気がして、
できなかったけど。
どうして今、それを思い出すの?
間近で感じる詩子さんは、
さっきまでより何倍何十倍も素敵で、
ドールでは感じられなかった生命力がある。
信じられないくらいいい匂いがして、
頭がくらくらする。
勘違いしちゃいけない。
怖がっているわたしを見兼ねて、
詩子さんはわたしの肩を抱いてくれているだけ。
そこにそれ以上の意味はないのだ。
必死にそう考えようとするのだけど、
わたしのものとは違う心音がそれを邪魔してくる。
どうしてわたしとおなじくらい、
詩子さんもどきどきしているの?
詩子さんの体温に温められて、
詩子さんの腕の力が強くなって、
もっとぎゅうっと抱きしめられて、
やがてふたりの、別々の鼓動がシンクロしていく。
詩子さんが、わたしの顔をじっと見ていた。
すごく近くで。
吐息を感じるくらい近く。
いつものわたしなら目を逸らせてしまうはずなのに、
そうできなかった。
逸らせたくないっていうのが、たぶん本音。
わたしの吐き出す二酸化炭素が、
詩子さんの二酸化炭素と溶けて混じり合う。
なんて官能的。
詩子さんとは知り合ったばかりなのに、
ずっとこうしたかったと思っていた。
前から。
ずっと昔から。
生まれてからずっと。
あるいは、生まれる前から。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


