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素敵な笑顔
第17章 音 キス
 いつから聞こえていたのかわからない。
くちびるに神経が集中していたはずなのに、
意識が耳へと逸れていく。
くすくすという笑い声だ。
嬉しくて可笑しくてたまらないという感じの、
冷やかすような微笑み。
感じる。おばあちゃんの気配。

(あなたたち、展開が早すぎない?)

 おばあちゃんの声が聞こえて、わたしは我に返った。

「待ってください。おばあちゃんが見てます」

「え?」

(少しくらい、私の死を悲しんでよ)

 そしてまたくすくすと笑う声。

(ふふ、お邪魔してごめんなさいね。
でも今はそこまでにしておきなさい。
しのぶさんが来るわ)

 はっとして姿勢を正すのと、
しのぶちゃんが部屋に入ってくるのがほとんど同時だった。
危なかった。
おばあちゃんが警告してくれなかったら、
しのぶちゃんにばっちり見られたかもってタイミング。

「ああ、ここにいたの。彩音、大丈夫?」

「う、うん。詩子さんが一緒にいてくれるから」

 かろうじて平静を装えた、と思う。
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