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素敵な笑顔
第22章 詩 不思議な子
 結構長い時間、彩音は動かない。
真面目な子。怖がりな子。
そして鈍い子。
こんなにも、好きってオーラを全開に出しているのに、
気づかないってことある? 
今日だって、少し肌寒いだろうってわかってたけど、
お気に入りのワンピースを着てきた。
これが一番、あたしに似合ってるって思うから。
彩音に見てもらいたかったから。
なのに彩音は一瞥しただけですぐに目を逸らせてしまった。
似合います、の一言もなかった。

 やっぱり彩音もノーマルなのかな。
おばあちゃん、お願いだよ。
どんな卑怯な手を使ってもいいから、
彩音があたしのことを好きになるように仕向けてよ。
これがあたしの、生涯最後の恋になっても構わないから。

 彩音の横顔に、
急に高校生のときに好きだった紗絵が重なった。
嫌な思い出だ。
紗絵のときも、何度も神様にそんなお願いをしたっけ。
でも結局だめだった。
願えば願うほど、
その願いはあたしの手から遠ざかっていくように思える。
そのことを、あたしは思い知らされていた。
LGBTのひとの割合を考えたら、
好きになった相手もノーマルじゃないなんて奇跡。
きっとまた痛い目に合う。
紗絵のときのように、
脳を火あぶりにされるような嫉妬に狂うのはもう嫌。
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