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素敵な笑顔
第25章 音 後日譚 ダイヤモンド
 肌が詩子さんを求めている。
わたしはもう、詩子さんなしでは生きていけない。
だからほんの些細なことにもやきもちを妬いてしまう。
今日だってそうだ。
通勤電車で気づくとこっちを見ている男のひとがいて、
数日前から挨拶をされるようになり、
今日は食事に誘われたらしい。
そんな、詩子さんにはなんの非もないことにでも腹が立った。
男には興味ないって、詩子さんは言う。
じゃあもし、女のひとに声を掛けられたらどうするの? 
すごく美人で性格もよくてかわいらしいひとだったら、
誘われたらお食事に行っちゃうの? 
そのあと、ふたりだけでなにをするの? 
嫌。絶対に嫌。
そんなひとが現れたら、
なにを取っても平均以下のわたしなんかじゃ太刀打ちできない。

 詩子さんが戻ってきた足音が聞こえ、
わたしはまた寝たふりをする。

「彩音、こっち向いて」

 しゃらしゃらと布ずれの音が聞こえる。
なんだろう。

「ねえ、どうかしら?」

 どうかしら? 
なにその言葉遣い。
お嬢様言葉みたいなイントネーション。
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