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素敵な笑顔
第25章 音 後日譚 ダイヤモンド
「ガン見し過ぎよ。恥ずかしいですわ」

 そんなこと言われても仕方がない。
ひとはほんとうに美しいものを見たときに、
言葉を失い息をするのも忘れ、
目を逸らせなくなってしまう。

「彩音が見たいって言うから着たのよ。
じゃなければ着たりしないわ」

 胸の前で手を組み合わせて詩子さんは言う。

「彩音には、あたしだけを見てほしいの。
これだと、ドレスにも目が行っちゃうでしょう? 
そうじゃなくてあたしだけ。
飾らないあたしだけでも、好きでいてほしいの。
普通の格好だと普通ね、なんて思われたくないの」

「思うわけないじゃないですか」

 嬉しい。詩子さんがそんなこと思ってくれてるなんて。

「やっと返事してくれたね」

 詩子さんがにっこりと笑う。100万ドルの笑顔。

「もう脱ぎたい。脱ぐ」

 詩子さんは言い、惜しげもなく、
ぱぱっとドレスを脱いでしまった。
もったいないって思う。
もしわたしが詩子さんなら、
一日中でも鏡の前にいるのに。
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