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素敵な笑顔
第25章 音 後日譚 ダイヤモンド
「ねえ聞いて?」

 詩子さんが、わたしの髪を手櫛で梳いてくれている。
すごく大切にしてもらってるって実感できる。

「あたしね、まだ彩音と付き合う前、
おばあちゃんのお葬式の日に、
おばあちゃんにお願いしたの」

「なにをですか?」

 とろんとしたまま、わたしは聞き返した。

「どんな卑怯な手を使ってもいいから、
彩音があたしを好きになってくれるようにしてって。
これが生涯最後の恋でもいいからって」

 耳に一番近いところで聞く詩子さんの囁き声。
機嫌取ろうとしてるって、
普段なら信じられない言葉も、
胸にすとんと素直に落ちてくる。

「だから彩音のことは絶対に裏切らない。
おばあちゃんのことも裏切ることになるからね」

 無防備な状態のわたしに言うなんてずるい。
信じていいの? 信じちゃうよ?

「これでもまだ不満?」

 首を振る以外の選択肢は、もう残っていなかった。
詩子さんの甘い言葉に、
怒っているわたしなんか簡単に殺されてしまう。
オーバーキルだよ、詩子さん。
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