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素敵な笑顔
第26章 音 後日譚 嫉妬
「いいのよ。たまには男の子もいいもんね」

「そういうのじゃないんです。なんていうか、その――」

 Snowman に男なんて感じていない。
ただ単純に、純粋に見ているのが楽しいだけ。
なんて、本音ではあるのだけど、
言うのが憚れるくらい嘘っぽい。

「言い訳しなくていいわ。むしろそれが普通よね。
陰鬱としたレズビアンの関係より、よっぽど健全じゃない」

 言い方がきつい。
こんな詩子さんはめずらしい。
いつもなんでも優しく許してくれるのに。

「やっぱり彩音は男がいいのね」

 トゲだらけの声で頬を叩くように言われ、
誠に勝手ながらカチンときてしまった。

「そうですね。男のひとも魅力的ですよ」

 挑むような気持ちで、わたしは言い返した。

「前に満員電車で足踏んじゃって、
ごめんなさいって謝ったとき、見下ろされて、
無言でにこっと笑顔を見せられたの、すごく素敵でした」

「ふーん」

 詩子さんの片眉がぴくっとしたのを、
わたしは見ていた。
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