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素敵な笑顔
第26章 音 後日譚 嫉妬
「薄着のときに体が引き締まってそうだなーって感じると、
ドキッとします。がっちりたくましい体つきは、
女のひとにはない魅力ですよね」

 わたしはたぶん、今すごく嫌な感じの顔をしていると思う。

「ネクタイ緩める仕草とか、
腕まくりして、筋の浮き上がった腕とか――」

 止められなかった。
数少ない、男のひとに魅力を感じたところを羅列していく。

「低い声とかやわらかい物腰とか痛いっ」

 いきなり詩子さんが首に噛みついてきた。
くくくっと笑いながらだったので冗談かと思ったら、
冗談で済まないくらい痛くて、
本気の噛みつきで、
それでやっとくくくっと笑っているのではなく
嗚咽なんだと気づいた。

「どうしたんですか。嘘ですよ。
嘘に決まってるじゃないですか」 

 わたしの理不尽な怒りは一瞬で消えた。
詩子さんが離してくれない。
強く抱き締めてくる。
しがみついてくるって言ったほうが正確かもしれない。
獣みたいに、ふーふーと荒い息づかい。
興奮して体温が上がった詩子さん。
噛まれている首が熱い。
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