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素敵な笑顔
第27章 音 後日譚 笑顔の絶えない家庭
「こっちね、わかった」

 生真面目な顔で詩子さんは言い、
ワンピースはクローゼットのなかに戻してしまった。
あれ、と思った。
詩子さんが素直に言うことを聞くなんて。

「彩音はなに着るの?」

 あ、わたしも行くのか。
困った。行き先わからず、なにを着ればいいのだ。
どこ行くんですか、なんて聞いて、
詩子さんの機嫌が悪くなったら嫌だし。

「えーとわたしは――」

 詩子さんのクローゼットのなか、
間借りさせてもらっているわたしのエリアを見ると、
それがすっと目に入ってきた。
出番ね、と言われた気がした。
まだ袖を通していない新品のスカートスーツ。
ベージュ寄りの薄いグレー。
たっぷりのプリーツが優雅に揺れてかわいいやつ。

「これにしようかな」

 詩子さんの顔色を伺いながら言った。
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