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素敵な笑顔
第27章 音 後日譚 笑顔の絶えない家庭
外はいい天気だ。
余分な力がいらず、自然と足が前に出る。
走りだしてしまいそうになるのを、
我慢しなくちゃならないくらい。
変な笑い声をあげてしまわないように。
過不足なく満ち足りて、
詩子さんがすぐそばにいて、
心に陰の部分が1グラムもない。
電車で痴漢ごっこしたり、
バスでは周りに気付かれないよう
素早く何度もキスしながらの移動。
道に迷うのも楽しいので、ふたりのお出掛けの、
道案内は詩子さんに任せっきりだ。
わたしは方向音痴に加え、
景色を記憶しておく能力にも欠けているので、
すぐにどこにいるのかわからなくなってしまう。
「ちょっと休憩していきましょう」
『Chez tanabe』の前で足を止め、詩子さんは言った。
それでやっとわたしは現在地を把握する。
わたしの実家とおばあちゃんの家の中間くらいだ。
赤と白で配色された外壁に、
いつも停まっているスーパーカブの青色が鮮やかに目を惹く。
『Chez tanabe』は前々から評判の洋菓子店で、
息子さんが引き継いだのを機に、
店内にカフェスペースが併設された。
先代と息子さんがケーキを提供し、
息子のお嫁さんがコーヒーを淹れてくれる。
バリスタの資格を持っているとかで、
最近ではコーヒーも評判になっている。
『こだわりのエスプレッソ』らしいけど、
わたしたちには濃すぎるのを知っているので、
詩子さんは普通のホットコーヒー、
わたしはホットミルクを注文した。
余分な力がいらず、自然と足が前に出る。
走りだしてしまいそうになるのを、
我慢しなくちゃならないくらい。
変な笑い声をあげてしまわないように。
過不足なく満ち足りて、
詩子さんがすぐそばにいて、
心に陰の部分が1グラムもない。
電車で痴漢ごっこしたり、
バスでは周りに気付かれないよう
素早く何度もキスしながらの移動。
道に迷うのも楽しいので、ふたりのお出掛けの、
道案内は詩子さんに任せっきりだ。
わたしは方向音痴に加え、
景色を記憶しておく能力にも欠けているので、
すぐにどこにいるのかわからなくなってしまう。
「ちょっと休憩していきましょう」
『Chez tanabe』の前で足を止め、詩子さんは言った。
それでやっとわたしは現在地を把握する。
わたしの実家とおばあちゃんの家の中間くらいだ。
赤と白で配色された外壁に、
いつも停まっているスーパーカブの青色が鮮やかに目を惹く。
『Chez tanabe』は前々から評判の洋菓子店で、
息子さんが引き継いだのを機に、
店内にカフェスペースが併設された。
先代と息子さんがケーキを提供し、
息子のお嫁さんがコーヒーを淹れてくれる。
バリスタの資格を持っているとかで、
最近ではコーヒーも評判になっている。
『こだわりのエスプレッソ』らしいけど、
わたしたちには濃すぎるのを知っているので、
詩子さんは普通のホットコーヒー、
わたしはホットミルクを注文した。

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