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素敵な笑顔
第27章 音 後日譚 笑顔の絶えない家庭
 四角いテーブルと華奢な椅子。
モンブランの繊細な螺旋状のクリームを、
少しずつ切り崩しながらくちに運ぶ。
栗の風味が濃くて、
ひとくちごとに減っていくのが惜しくなるくらいおいしい。
ティラミスを注文した詩子さんは、
切り取る量が一匙ごとに大きくなっていて、
最後は女子らしからぬ大口を開けて
押し込むように食べてしまった。

「ちょっと味見させてください
って言われると嫌だから食べ終わってから言うけど、
尋常じゃないくらい美味しかったわ」

 澄まし顔で詩子さんは言う。
ひとくちたりとも取られたくなかったらしい。

「ケチ」

「食べてみたかったら言えばよかったのよ。
言われてもないのに、食べてみる? 
なんて言ってあげるほど、あたしはお人好しじゃないわ」

 言ったとて、
さっきよりもっと早くくちに押し込んでしまうくせに。

「モンブランもおいしそうね。ちょっと頂戴」

「嫌ですよ。どのくちが言うんですか」

 詩子さんが自分のスプーンを構えている。
わたしはモンブランを手前に引き寄せる。
絶対阻止だ。
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