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素敵な笑顔
第27章 音 後日譚 笑顔の絶えない家庭
「ちょっと味見るだけ。ひとくちだけよ」

「だめです。詩子さんのひとくちはめちゃくちゃ大きいのに」

「あ、ほら見て、すごく美人なお姉さん」

「そんな手に引っ掛かるのは詩子さんくらいです。
食べたかったら注文すればいいじゃないですか。
いくら食べても太らないって自慢し痛いっ、あっ、ああ!」

 脛を蹴り上げられて、
怯んだ隙に詩子さんの手がさっと繰り出され、
それでも反射的に払い除けようとしたけどそれはフェイントで、
一枚上手な詩子さんの前では、
わたしの抵抗なんてまったくのむなしいものだった。

「あら、これもおいしいわね」

 勝ち誇った憎たらしい顔。
ひどい。残りの半分くらいなくなった。

「わざわざ変顔しなくても、
普通のままで彩音の顔は十分おもしろいわよ」

 睨みつけているつもりだったのに、
なんてこと言うの。

「さあ、はやく食べなさい。もう行くわよ」

 言いながら、もうお尻が半分浮いている。
ずっと詩子さんのターンだ。
強い。勝てない。
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