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素敵な笑顔
第27章 音 後日譚 笑顔の絶えない家庭
 支払いのとき、
詩子さんはお店オリジナルブレンドの粗挽き豆を購入した。
手土産なのかなって思いながら、
うちのお父さんもコーヒー大好きだなと思い出した。
いつも親不孝ばかりの気持ちだけの罪滅ぼしに、
買って帰ろうかと迷っているうちに、
会計を済ませた詩子さんはさっさと出て行ってしまった。
お父さんごめんね、また今度だ。

 特別なお出掛けらしい服装に、手土産まで。
おまけにわたしまで連れてどこに行くのだろう。
心当たりがない。全然わからない。

「あー、緊張してきたわ」

 えー、めずらしい。詩子さんが緊張? 

「なんか腹立つわね。自分だけのほほんとして」

 詩子さんに小突かれる。
だって行き先知らないんだもの。
でも知っていたとて大丈夫。
なにしろわたしは詩子さんがいてくれたら、
怖いもの知らずなのだ。
詩子さんが一緒なら、なんだってできる。
どこへだって行ける。
無敵になれる。
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