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素敵な笑顔
第27章 音 後日譚 笑顔の絶えない家庭
 とは言え、これは想定外だ。
タクシーを拾い、運転手さんに告げた行き先は、
わたしの実家のすぐ近く。
そこで降りるなら、行き先はどう考えてもわたしの実家。

「うちに寄っていくんですか?」

 思わず聞いた。

「うん。
ん? うん」

 落ち着かない様子の詩子さん。上の空の返事。
うちになんの用事? 
他に行き先があって、近く通るからちょっと寄るだけ? 
でも、うちに寄るだけでどうして緊張するの?

 詩子さんについていくと、
やっぱり目的地はうちの実家。
いつもなら、ただいまー、
となにも気にせずなにも考えずに玄関ドアを開けるのだけど、
詩子さんがインターホンを鳴らしてしまったので、
仕方なく詩子さんの後ろで応答を待つ。

「はいー、あら」

 警戒心なしで、お母さんがドアを開け放した。
物騒な世の中。出る前に誰が来たのか確かめて、
なんてもう何回言っても無駄らしい。
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