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素敵な笑顔
第27章 音 後日譚 笑顔の絶えない家庭
「詩子ちゃん。お久しぶりね。
いつも彩音がお世話になってます」

「ご無沙汰しています。
こちらこそ、いつも引き留めてしまって」 

 ふたりして向かい合ってぺこぺこしている。
お母さんはともかく、
それは詩子さんには似つかわしくなくて、
なんだか滑稽で可笑しい。

 どうぞどうぞ、とお母さんが言い、
詩子さんは、いえここで、とか言うのかなと思ったら、
はい失礼します、なんて畏まって、
お母さんの後ろについて家に入っていってしまった。
あれお母さんわたしのこと見えてる? ってくらい、
わたしは置いてきぼりだ。

 リビングに移動し、詩子さんは立ったままだけど、
わたしは勝手知ったる我が家なので、
ソファで寛ぐぽよこの隣にどすんと腰を下ろした。
ぽよこが迷惑そうな視線を向けてくる。
ぽよこはお母さんが引き取ってきた三毛の保護猫で、
もらってきたときはお腹がぽよぽよだったので
ぽよこと命名された。
生意気なぽよこを、
抱き上げてひっくり返してお腹に顔を埋めてやる。
ニャニャなんていかにも抗議的な声をあげるので、
もっとふがふがしてやる。
手を突っ張ってくるけど、爪は立てない。
嫌なことをされても、健気に耐えるかわいいぽよこ。
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