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素敵な笑顔
第27章 音 後日譚 笑顔の絶えない家庭
 見える。まただ。
いや、見えるというのと少し違う。
思い出す。
そう、それだ。
詩子さんの過去。
銀さんお父さんが買ってきたぬいぐるみが大きくて怖くて、
泣いている赤ちゃん詩子さん。
保母さんに抱っこされて、
照れ臭そうにはにかむ詩子さん。
美香さんお母さんとの、
なにげない朝のやりとり。
平和な時間。
おばあちゃんとの静かな時間。
男女共学なのに、
詩子さんの記憶の男子は全員のっぺらぼうで、
女の子たちばかりがきらきらと華やいでいる。
そのなかで一際輝く同級生。
名前までわかる。
沙絵って子。
沙絵さんとの記憶をたどっていくと、
突然背景が真っ暗になる。
救いのない漆黒の闇。
詩子さんの心は、それからしばらく闇に閉ざされていた。
今はどうだろう。
出会ってから今日までの、詩子さんの過去は見えない。
今も闇の中? 
ううん、きっとそうじゃないよね。
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