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素敵な笑顔
第6章 詩 記憶:マイノリティ
 家族以外のひとに興味と好意を持つことが初恋なら、
相手は幼稚園のはるか先生。
初恋の恋愛感情に性的欲求が含まれるのなら、
それは中学生のときの美咲さんだ。
美咲さんは陸上部に所属していて、
短距離走と走り幅跳びの選手だった。
髪をショートカットにした、
すらっと背の高い細身の女の子。
走る姿とジャンプのフォームに目を奪われ、
いい記録が出たとき、無邪気に喜ぶ姿に心を奪われた。
ひとつ年上なだけなのにすごく大人っぽく見えて、
でも少し子どもっぽい笑顔や仕草は、
あたしを甘い気持ちで満たせてくれた。

 最初はただ憧れの先輩ってだけだった。
そんな彼女に対して性的欲求が芽生えたきっかけは、
よく覚えている。
BGM代わりについていたテレビで、
あたしは初めてキスシーンを見た。
正確には、初めてキスという行為を意識した。
夕食後で、美香ちゃんはキッチンで洗い物をしていて、
お父さんはその隣で食後のコーヒーの準備をしていた。
ドラマだったと思うけど、タイトルもストーリーも、
登場人物の名前も覚えていない。
でも鮮明に覚えているのが、
傷ついた少女を慰め、抱きしめ、
そっとくちびるを重ねた相手も、
また女性だったということ。
そのシーンのあまりの美しさに、あたしは度肝を抜かれ、
鼻血が出そうなくらい興奮していた。
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