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素敵な笑顔
第6章 詩 記憶:マイノリティ
 最後のお別れもせず、美咲さんのほうから、
なにかを言ってきてくれるってことも当然なく、
あたしの恋は推進力をなくし、行き場を失い、
餌を絶たれたモルモットのように、
あっけなく死んでしまった。

 傷心一年。

 普通になりたくて、努力をした。
テレビに出てるようなアイドル男子では、
現実感が無さすぎるので、
クラスで一番人気のあった木ノ下くんを
よくよく観察した。
女子たるもの、彼の魅力に気づけないでどうする。
成績は結構いい。
スポーツも、特筆すべきところはないとしても、
それなりにどんな競技でもそつなくこなす。
優しい、でしゃばらないけど存在感はある、
顔もまあまあ整っている。
これと言って欠点は見当たらない。

 それなのにどうだろう。
意識して興味を持とうとしているのに、
気がつくと別のことを考えている。
彼のことを考えるのに、5分と集中力が持続しない。
彼とキスするところを想像しても楽しくない。
おぞましい、というほどの拒否感はないものの、
迫られると顔を背けてしまうと思う。
頬ならいいけど、くちびるはやめてって思う。
兄か弟がいれば、こんな感覚なのかな。
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