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素敵な笑顔
第10章 詩 記憶:運命の日
 甘いもの食べるんだから、
コーヒーはブラックにしておきなさい

 えー、ブラックは苦くて無理だよ

 先にケーキでくちのなかを甘くしてごらんなさい。
そしたらコーヒーの苦味がくせになるから

 言われた通りにしてみると、なるほど悪くなかった。
甘さで苦味が緩和され、
コーヒーの芳しい香りが鼻から抜けていく。

 おいしい

 でしょー。私も昔、
まあおじさんに教えてもらったのよ

 普段はお父さんって呼んでいるのに、
しのぶさんはあたしに話すときは、
あたしに合わせてまあおじさんと呼ぶ。

 んー、まあ悪くないけど、
タナベのには劣るわねぇ

 タナベというのは、シェ·タナベ。
三駅先にできた評判の洋菓子店だ。

 遠いじゃない。私は徒歩なのよ

 おばあちゃんの反論に、しのぶさんは、ああ、
とわざとらしく嘆くように天井を見上げた。
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