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素敵な笑顔
第12章 詩 玩具の憂鬱
 駅に向かい、電車を乗り継いで三十分弱。
あたしのマンションよりよっぽど豪華なエントランス。
ちょうど住人が帰ってきたとこだったので、
そのひとの後ろからしれっと入り込む。
エレベーターのドアの開閉も滑らか。
うちは外廊下だけどこっちは内廊下。
たぶん家賃も倍以上するんだろうなって、いつも思う。
ドアの前に立ちインターホンを鳴らすと、
なんの警戒心もなくドアは開かれた。

「ああ」

 とくに驚いた素振りは見せず、
嬉しそうな顔もせず、
いつもあるがままを受け入れているような優子さん。

「こんにちは」

 あたしは短く挨拶し、部屋に上がり込んだ。
いつもの甘い匂いに包まれる。
優子さんが愛用している、
なんとかローズって名前の香水。

 優子さんは年齢不詳、職業不明、出身地も不明。
名字さえも知らない。
なにを聞いても、なにも教えてくれない。
40歳にはなっていないと思う。
あたしの予想では37歳。
ゆるくウェーブのかかった髪は、
ゆったりと腰のあたりまで豊かに拡がっていて、
背は高くもなく低くもなく、
やせ型なのにおっぱいは大きい。
左目の下のほくろが、
優子さんの妖艶さをより際立たせている。
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