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素敵な笑顔
第14章 詩 そのとき
スマホに着信があったとき、
あたしはカレーを作ろうと思って玉ねぎを刻んでいた。
仕事が休みの日くらい自炊しなくては、
どんどんぐうたらになってしまう。
窓拭きしてカーテンの洗濯もしてって、
今日やろうと思ってたリストの八割くらいは、
次の休みに持ち越したけど。
水中ゴーグルを外してスマホを手に取ると、
画面に美香ちゃんの名前が表示されていた。
呑気な休日気分は瞬時に吹き飛ぶ。
あたしはこのときほど、
電話に出たくないって思ったことはなかった。
「はい」
ああ詩子? って感じの、
いつもの気の抜けた美香ちゃんの声を期待した。
でもあたしのこんな期待なんて、
絶対に叶わないってことも同時にわかっていた。
「あ、う、うた詩子――」
聞こえてきたのは美香ちゃんの取り乱した声。
そのときが、とうとうきてしまったのだとわかった。

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