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素敵な笑顔
第14章 詩 そのとき
 すっかりと見慣れてしまった病院のエントランス。
エレベーターに乗れば自然と5階のボタンを押してしまう。
2の数字が灯り、消え、
続いて3、4、と無情に進んでいく。
今、エレベーターを吊っているワイヤーが切れて、
下まで落っこちても全然構わないなーって思っていた。

 何事もなく、エレベーターは5階に到着した。
顔見知りになっていた看護士さんに、
深々と頭を下げられる。
いつも笑顔を絶やさない明るいひとなのに、
そんな顔するのはやめてって思った。
パステルカラーのパジャマを着た老人たちが、
廊下を徘徊している。
みんな虚ろで生気のない顔をしている。
たぶんあたしも同じ顔。
適当に選んだコートとパンツは色合いがちぐはぐだし、
髪はぼさぼさで、きっとたまねぎ臭い。

 おばあちゃんの部屋の前に、みんないた。
お父さんと美香ちゃん、まあおじさんとしのぶさんと、
あとひとり、高校生くらいの知らない女の子。
誰だろうって思う暇もなく、
美香ちゃんがあたしを見るなり顔を歪ませて、
お相撲のぶつかり稽古のような勢いで抱きついてきた。
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