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明君のお母さんと僕
第7章 行水
明君のお母さんは本当に嬉しそうだった。後々になって考えると、二人でお外にいるところを誰かに見られたら何かとマズいんじゃないかと思ったけど、いまさら確認できないほど、明君のお母さんはノリノリになっていた。
相変わらず空は雨の降る気配がまったくないカンカン照りで、明君の家にたどり着くまでに僕の額や首の裏は汗でネバネバになっていた。
ピンポンと呼び鈴を押すと、すぐに「はーい」と声がして、明君のお母さんは出てきた。
「こんにちは」
「こんにちは。あ、ちゃんと虫取り網、持ってきてくれたのね」
明君のお母さんは外に出る準備万端で、右目には白い眼帯をつけていた。
お買い物とかでお外に行くときは痣を隠すため、眼帯を付けていると言っていた。
僕は初めて眼帯姿を見たので少々驚いたけど、あまりジロジロ見るのは失礼なことだ。
「じゃあ、とりあえず鞄だけうちにおいて、行こうか」
「うん。公園?」
「えっとね。公園は他の子どもも沢山いると思うから。そこでいいんじゃない?」
明君のお母さんは公営住宅の中にある小さな緑地を指さした。
ベンチが一つ置いてあるだけの狭いスペースだけど、周囲には木々が茂っていて、蝉のBGMもそこから響き渡っている。
「うん! あそこにしよう!」
僕も公園に行って学校の友達に見られるのは嫌だったので、これは名案だと思った。ただ、明君のお母さんは蝉取りにふさわしくない真っ白なワンピースを着ている。
「そのお洋服だと汚れるかもしれないよ」
「あ、そうね。うーん、まあ大丈夫。汚れたら洗えばいいんだし」
明君のお母さんはすでに鼻緒のところがお花柄のサンダルを穿いている。
僕は虫取り網を持ちながら、足首が細くて色っぽいなぁと思った。
★
「えい!」
僕は人のことを言えないのだが、明君のお母さんは想像していた以上に、運動があまりできないタイプだった。蝉取りに運動神経など関係ないと思われるかもしれないが、明君のお母さんはなんだか体の使い方が不器用でぎこちない。
「あ、逃げた」
いまだって軽くジャンプして蝉を取ろうとしていたのだけど、網を持つ右手だけを伸ばせばいいのに、同時に左手も伸ばしていた。そもそもほとんどジャンプできていなかった。
「よーし、今度こそ……」
相変わらず空は雨の降る気配がまったくないカンカン照りで、明君の家にたどり着くまでに僕の額や首の裏は汗でネバネバになっていた。
ピンポンと呼び鈴を押すと、すぐに「はーい」と声がして、明君のお母さんは出てきた。
「こんにちは」
「こんにちは。あ、ちゃんと虫取り網、持ってきてくれたのね」
明君のお母さんは外に出る準備万端で、右目には白い眼帯をつけていた。
お買い物とかでお外に行くときは痣を隠すため、眼帯を付けていると言っていた。
僕は初めて眼帯姿を見たので少々驚いたけど、あまりジロジロ見るのは失礼なことだ。
「じゃあ、とりあえず鞄だけうちにおいて、行こうか」
「うん。公園?」
「えっとね。公園は他の子どもも沢山いると思うから。そこでいいんじゃない?」
明君のお母さんは公営住宅の中にある小さな緑地を指さした。
ベンチが一つ置いてあるだけの狭いスペースだけど、周囲には木々が茂っていて、蝉のBGMもそこから響き渡っている。
「うん! あそこにしよう!」
僕も公園に行って学校の友達に見られるのは嫌だったので、これは名案だと思った。ただ、明君のお母さんは蝉取りにふさわしくない真っ白なワンピースを着ている。
「そのお洋服だと汚れるかもしれないよ」
「あ、そうね。うーん、まあ大丈夫。汚れたら洗えばいいんだし」
明君のお母さんはすでに鼻緒のところがお花柄のサンダルを穿いている。
僕は虫取り網を持ちながら、足首が細くて色っぽいなぁと思った。
★
「えい!」
僕は人のことを言えないのだが、明君のお母さんは想像していた以上に、運動があまりできないタイプだった。蝉取りに運動神経など関係ないと思われるかもしれないが、明君のお母さんはなんだか体の使い方が不器用でぎこちない。
「あ、逃げた」
いまだって軽くジャンプして蝉を取ろうとしていたのだけど、網を持つ右手だけを伸ばせばいいのに、同時に左手も伸ばしていた。そもそもほとんどジャンプできていなかった。
「よーし、今度こそ……」

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