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明君のお母さんと僕
第7章 行水
明君のお母さんはすっかり子供に戻ったみたいに、蝉の声を頼りに自分から茂みの中に入っていく。足元の雑草にスカートがつかないように、ひょいと片手でスカートを持ち上げると、色白のふくらはぎまで露出するから僕はドキッとしてしまう。
僕も明君のお母さんの後を追って、茂みに静かに入っていた。
急にあたりが暗くなり、空気もわずかに涼しい。
「あそこにいる……」
明君のお母さんが僕に体を寄せて、一本の木の上を指さしてきた。明君のお母さんの石鹸のようないい香りはおろか、かぐわしい息まで感じられる距離だ。
「ほんとだ。でっかいアブラゼミ」
不思議な感覚だった。アブラゼミのことではない。
今までだったら僕は明君のお母さんとこの距離になるだけでドギマギしていたものだ。
しかし昨日、明君のお母さんと最後までした影響なのか。こうやって体が触れ合っていても、自然に感じられるのだ。もちろん、明君のお母さんの体の柔らかさを感じると性的な興奮は高まるのだが、今までに比べればいくらか落ち着いた気持ちで、このひと時を過ごせる。
うまくいえないけど「他人」ではなくなった感じだ。「他人」ではなく、明君のお母さんは「僕の一部」になっていて、僕は「明君のお母さんの一部」にもなっている──。
「はい。頑張って」
目の前に虫取り網が差し出された。僕は頷いて虫取り網を右手に掴むと、アブラゼミを一心に見つめた。ギィギィと鳴くたび、震える二枚の羽と、僕の顔の横で感じる明君のお母さんの静かな息遣いが重なる。
夏の陽光が茂る葉の隙間から、一筋のスポットライトのように僕たちを照らしていた。
★
蝉取りが終わった頃には全身が汗びっしょりで、明君のお母さんも部屋に戻ってくるなり、
「あ~、すぐに冷房つけるからね」
リビングのテーブルにあったエアコンのスイッチを入れた。僕は再びこの部屋に入ってから、昨日のことをリアルに思い出していた。明君のお母さんと抱き合ったリビングの床のカーペットの模様も覚えているので、どうしてもそこに意識がいってしまう。
「暑いよね。そうだ。明の部屋の冷房もつけてくるわ。お勉強しないとね」
明君のお母さんは僕を置いてけぼりにして、忙しそうに家の中を走り回っている。
僕は早く明君のお母さんに抱きつきたい。
僕も明君のお母さんの後を追って、茂みに静かに入っていた。
急にあたりが暗くなり、空気もわずかに涼しい。
「あそこにいる……」
明君のお母さんが僕に体を寄せて、一本の木の上を指さしてきた。明君のお母さんの石鹸のようないい香りはおろか、かぐわしい息まで感じられる距離だ。
「ほんとだ。でっかいアブラゼミ」
不思議な感覚だった。アブラゼミのことではない。
今までだったら僕は明君のお母さんとこの距離になるだけでドギマギしていたものだ。
しかし昨日、明君のお母さんと最後までした影響なのか。こうやって体が触れ合っていても、自然に感じられるのだ。もちろん、明君のお母さんの体の柔らかさを感じると性的な興奮は高まるのだが、今までに比べればいくらか落ち着いた気持ちで、このひと時を過ごせる。
うまくいえないけど「他人」ではなくなった感じだ。「他人」ではなく、明君のお母さんは「僕の一部」になっていて、僕は「明君のお母さんの一部」にもなっている──。
「はい。頑張って」
目の前に虫取り網が差し出された。僕は頷いて虫取り網を右手に掴むと、アブラゼミを一心に見つめた。ギィギィと鳴くたび、震える二枚の羽と、僕の顔の横で感じる明君のお母さんの静かな息遣いが重なる。
夏の陽光が茂る葉の隙間から、一筋のスポットライトのように僕たちを照らしていた。
★
蝉取りが終わった頃には全身が汗びっしょりで、明君のお母さんも部屋に戻ってくるなり、
「あ~、すぐに冷房つけるからね」
リビングのテーブルにあったエアコンのスイッチを入れた。僕は再びこの部屋に入ってから、昨日のことをリアルに思い出していた。明君のお母さんと抱き合ったリビングの床のカーペットの模様も覚えているので、どうしてもそこに意識がいってしまう。
「暑いよね。そうだ。明の部屋の冷房もつけてくるわ。お勉強しないとね」
明君のお母さんは僕を置いてけぼりにして、忙しそうに家の中を走り回っている。
僕は早く明君のお母さんに抱きつきたい。

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