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明君のお母さんと僕
第8章 包丁
「いい? 何があっても絶対にここから出たらダメ……約束して」
僕は罰が当たったんだ。悪いコトをすれば、必ず報いを受ける──。
亡くなった親友の家に入り浸って、そのお母さんとSEXをしていた。
これはきっと悪いことなのだ。
そして、息子の親友に抱かれているお母さんも同罪だ、きっと。
「わかった?」
「う、うん……」
人間は追いつめられると本性が露わになる。
僕はこういう時こそ覚悟を決めて冷静になりたいのに、実際はこの有様だ。この場に及んで自分の犯した罪について、ごちゃごちゃと自問自答している。
そう、僕は逃げている。罰が当たったと言い訳をして、現実逃避しようとしている。
僕の父親の言っていた通り、僕は逃げている。
「善三郎君、おばさんの顔を見て」
「うん」
明君のお母さんは怯える僕を励ますように言う。明君のお母さんだって、唇は真っ青になっていて、ゲージを叩かれた兎のように瞳の奥も怯え切っていた。全然大丈夫じゃなさそうだ。
ドンドンドン!
ピンポーン、ピンポーン。
尋常じゃない。何もここまでドアを激しく叩いて、執拗に呼び鈴を鳴らすだろうか。家の外にいるのは明君のお父さんだが、まるでドラマで見たことのある悪徳な借金取りのようだ。
「ねえ、居留守は使えないの?」
「うん……管理人さんのところにいけば、合鍵があるから」
どちらにせよ、部屋に入ってくるのは時間の問題のようだった。
明君のお母さんは僕を隠すことを選んでいた。
ピンポン、ピンポン、ピンポン。
もはや狂ったように呼び鈴は鳴らされている。
「はーい」
ついに明君のお母さんはその存在を玄関の向こうの悪魔に知らせた。
「なんだ、いるのかよ」
ドンともう一度、ドアが叩かれた。
「ちょっと待ってくださいね」
焦燥の表情で僕を見つめたまま、明君のお母さんは努めて柔らかい声で返事をしている。
それからもう一度、僕を見て「約束よ」と言った。
僕は明君のお母さんに連れてこられた、明君の部屋のクローゼットの中で体育座りして身を小さくしながら、ゆっくりと頷いた。
僕は罰が当たったんだ。悪いコトをすれば、必ず報いを受ける──。
亡くなった親友の家に入り浸って、そのお母さんとSEXをしていた。
これはきっと悪いことなのだ。
そして、息子の親友に抱かれているお母さんも同罪だ、きっと。
「わかった?」
「う、うん……」
人間は追いつめられると本性が露わになる。
僕はこういう時こそ覚悟を決めて冷静になりたいのに、実際はこの有様だ。この場に及んで自分の犯した罪について、ごちゃごちゃと自問自答している。
そう、僕は逃げている。罰が当たったと言い訳をして、現実逃避しようとしている。
僕の父親の言っていた通り、僕は逃げている。
「善三郎君、おばさんの顔を見て」
「うん」
明君のお母さんは怯える僕を励ますように言う。明君のお母さんだって、唇は真っ青になっていて、ゲージを叩かれた兎のように瞳の奥も怯え切っていた。全然大丈夫じゃなさそうだ。
ドンドンドン!
ピンポーン、ピンポーン。
尋常じゃない。何もここまでドアを激しく叩いて、執拗に呼び鈴を鳴らすだろうか。家の外にいるのは明君のお父さんだが、まるでドラマで見たことのある悪徳な借金取りのようだ。
「ねえ、居留守は使えないの?」
「うん……管理人さんのところにいけば、合鍵があるから」
どちらにせよ、部屋に入ってくるのは時間の問題のようだった。
明君のお母さんは僕を隠すことを選んでいた。
ピンポン、ピンポン、ピンポン。
もはや狂ったように呼び鈴は鳴らされている。
「はーい」
ついに明君のお母さんはその存在を玄関の向こうの悪魔に知らせた。
「なんだ、いるのかよ」
ドンともう一度、ドアが叩かれた。
「ちょっと待ってくださいね」
焦燥の表情で僕を見つめたまま、明君のお母さんは努めて柔らかい声で返事をしている。
それからもう一度、僕を見て「約束よ」と言った。
僕は明君のお母さんに連れてこられた、明君の部屋のクローゼットの中で体育座りして身を小さくしながら、ゆっくりと頷いた。

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