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明君のお母さんと僕
第8章 包丁
 僕は自分の意思とは反して、ペニスを握ってしまっていた。
「だめ、あああっ! ああん」
 明君のお母さんは四つん這いの姿勢を維持できなくなって、ついにうつ伏せになった。
 男は構わず、肉棒をはめたまま、覆いかぶさり腰を振り続けている。
 うつ伏せに突っ伏した明君のお母さんは枕に顔を埋めているので、
「んふぅうう、んんふぅ」
 喘ぎ声はくぐもって、顔も僕からは見えなくなった。
 僕はそれでも交尾する大人の男女の姿に激しく興奮していた。
 ペニスを握る手の動きも早くなる。
 その時、僕は自分ではない誰かになっている気持ちにもなった。
 最初から疑問だった。この穴は誰が開けたのか。明らかに桐のようなもので開けられた穴だ。
 明君……。
 僕はいま明君の生まれ変わりのように、クローゼットに身を潜めて穴を覗く一人の少年になっていた。
「そろそろ出すぞ」
 男はこう宣言すると、ラストスパートに入った。
 明君のお母さんは車に曳かれて潰れたヒキガエルみたいな恰好で呻き続けている。
 僕はそんな可哀想な明君のお母さんを見て、激しく欲情している。
 男がふいに明君のお母さんの髪の毛を掴んで、引っ張り上げた。
「いっ!」
 明君のお母さんのしわくちゃの泣き顔が、僕の視線の真正面にくる。
「おおう、出る、出る」
 男が腰を振りながら射精を始めたようだ。
 つきさっき僕が射精した子宮に、別の男の精液がかかっている。
 僕は嫉妬に駆られながら、ペニスから熱い迸りを放つ。
 明君のお母さんが僕を見ている。
 え?
 明君のお母さんは旦那さんに射精されている間、ずっと僕を見ていた。
 気のせいだと思いたいが、僕は背筋が寒くなった。
 目が合うのだ。明君のお母さんの涙で腫れた瞳が、きっちりと壁の穴から覗く僕を捉えて離さない。僕が見ていることをずっと前から知っていたように。


【第八章 包丁】おわり


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また、9月新刊の『うえから読んでも、したから読んでも、琴子さんの夏じまい』(匠芸社・シトラス文庫)も年上女性と少年の性愛ストーリーです。読んでもらえると、嬉しいです。
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