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ヒミツのカルテ
第1章 咲希(32)不感症?
ドアが静かに開き、40代前半くらいの、どこか包み込むような優しさをたたえた女性医師が足を踏み入れた。
白衣をふわりとまとった彼女は、穏やかに微笑んだ。
「お待たせしました。山下さんですね」
「あ……はい」
女性医師はカルテを手にして、咲希の向かい側のソファに腰掛ける。
胸元には『川島』と記された名札が光っていた。
川島は手元の問診票に優しく目を落としてから、じっと咲希の顔を見た。
「詳しく書いてくださってありがとうございます。ここではどんなお話も、私がしっかり受け止めますからね」
その声のトーンに、張り詰めていた緊張の糸がふっと緩むのを感じる。咲希はこくこくと小さくうなずいた。
「では、少し詳しくお聞かせいただけますか? 問診票には、『セックスのときの痛み』や『不感症』、そして『結婚を視野に入れているからこそ治したい』とありましたが……」
川島の言葉に促され、咲希は再び自分の悩みを言葉にして紡ぎ始めた。
「はい……。今までの彼氏は皆、それが原因で別れてしまったんです。私、触れられると体がこわばってしまって…すごく怖くなってしまうんです。これが不感症…?だからなのか、病気なのか分からなくて……」
途切れ途切れになりながらも、咲希は今の思いを絞り出すように伝えた。
「周りはどんどん結婚していくのに、私このままじゃ……。早く結婚したいのにって、焦るばかりで……」
咲希の言葉を聞きながら、川島は遮ることも否定することもせず、ただ深くうなずきながら聞いていた。
そして、優しく幾つかの質問を投げかける。
「その痛みは、パートナーとどんな雰囲気のときでも感じますか? それとも、心のどこかで『痛かったらどうしよう』と不安になってしまう緊張感はありますか?」
「……あ、それは……緊張している自覚は、あります。また痛かったらどうしようって、いつも思っちゃって……」
「そうですよね。不安や恐怖があると、体は自然と身構えて、力を入れてしまうものなんです。治さなきゃいけないって、ずっとご自身にプレッシャーをかけ続けてこられたんですね」
川島は柔らかく微笑むと、手元のペンをそっと置いた。
「まずは、あなたの体がどうしてそんな風に怯えてしまうのか、その理由を一緒に紐解いていきましょうね。……それでは、少しリラックスしながら、これから診察をしていきましょうか」
白衣をふわりとまとった彼女は、穏やかに微笑んだ。
「お待たせしました。山下さんですね」
「あ……はい」
女性医師はカルテを手にして、咲希の向かい側のソファに腰掛ける。
胸元には『川島』と記された名札が光っていた。
川島は手元の問診票に優しく目を落としてから、じっと咲希の顔を見た。
「詳しく書いてくださってありがとうございます。ここではどんなお話も、私がしっかり受け止めますからね」
その声のトーンに、張り詰めていた緊張の糸がふっと緩むのを感じる。咲希はこくこくと小さくうなずいた。
「では、少し詳しくお聞かせいただけますか? 問診票には、『セックスのときの痛み』や『不感症』、そして『結婚を視野に入れているからこそ治したい』とありましたが……」
川島の言葉に促され、咲希は再び自分の悩みを言葉にして紡ぎ始めた。
「はい……。今までの彼氏は皆、それが原因で別れてしまったんです。私、触れられると体がこわばってしまって…すごく怖くなってしまうんです。これが不感症…?だからなのか、病気なのか分からなくて……」
途切れ途切れになりながらも、咲希は今の思いを絞り出すように伝えた。
「周りはどんどん結婚していくのに、私このままじゃ……。早く結婚したいのにって、焦るばかりで……」
咲希の言葉を聞きながら、川島は遮ることも否定することもせず、ただ深くうなずきながら聞いていた。
そして、優しく幾つかの質問を投げかける。
「その痛みは、パートナーとどんな雰囲気のときでも感じますか? それとも、心のどこかで『痛かったらどうしよう』と不安になってしまう緊張感はありますか?」
「……あ、それは……緊張している自覚は、あります。また痛かったらどうしようって、いつも思っちゃって……」
「そうですよね。不安や恐怖があると、体は自然と身構えて、力を入れてしまうものなんです。治さなきゃいけないって、ずっとご自身にプレッシャーをかけ続けてこられたんですね」
川島は柔らかく微笑むと、手元のペンをそっと置いた。
「まずは、あなたの体がどうしてそんな風に怯えてしまうのか、その理由を一緒に紐解いていきましょうね。……それでは、少しリラックスしながら、これから診察をしていきましょうか」

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