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秘密の回転寿司
第9章 まな板の上の『マグロ』
あたしが連れて行かれたのは、40代半ばくらいの優しそうな笑顔の男性のところ。
その男性の前には畳一畳分くらいありそうな大きな机がある。

「この上に乗って」

スタッフに指示されるままにあたしは机に上がる。

「仰向けに寝転んで」

(あたしは『マグロ』なんだから…)

自分に言い聞かせ、そこに静かに横になる。
首輪の鎖が外された代わりに、そこに再び紐のような物が繋がれた。

「机から落ちないように、首輪を机に繋いでおきます」

あたしに言っているのか、その男性に言っているのか、とても事務的な口調でスタッフが告げた。

「ああ、どうも」

男性の声は柔らかく落ち着いたトーンで何だか安心する。

(初めてがこの人で良かったな…)

「ごゆっくりどうぞ」

スタッフがそう言って下がった気配がした。

いよいよだ…

あたしはどう調理されるのだろう。

そんな、期待と不安で体を固くするあたしの耳に、不意に優しい声が飛び込んでくる。
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